アレルギー科では、アレルギーによる皮膚トラブルや花粉症、通年性アレルギー性鼻炎など、様々なアレルギー疾患に幅広く対応いたします。患者様の症状や生活スタイルに合わせた個別の治療プランを提供し、アレルギーによる不快な症状からの解放を目指します。
アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎は、特定のアレルゲンに対する免疫システムの過剰反応により、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状が現れる疾患です。季節性(花粉症)と通年性に分けられ、それぞれ異なる治療アプローチが必要となります。
スギ花粉症は日本人の約26.5%が罹患しており、春季の代表的なアレルギー疾患です。また、通年性アレルギー性鼻炎の主な原因はダニ、真菌、ペットの毛などで、約23.4%の日本人が症状を持っています。症状は鼻だけでなく、目のかゆみや涙目を伴うことも多く、日常生活に大きな影響を与えます。
当院では内服薬による治療を基本とし、症状の程度に応じて点鼻薬や点眼薬を併用します。重症例では後述のゾレア皮下注射も検討いたします。生活指導では、アレルゲンの回避方法や室内環境の改善についても詳しくお伝えします。
接触性皮膚炎

接触性皮膚炎は、皮膚に直接触れた物質により引き起こされる炎症性疾患です。金属、化粧品、洗剤、植物などが原因となることが多く、接触した部位に限局して発赤、腫れ、かゆみ、水疱などの症状が現れます。
診断では詳細な問診により原因物質を特定します。治療は原因物質の除去と、ステロイド外用薬による炎症の抑制が基本となります。かゆみが強い場合は抗ヒスタミン薬の内服も併用いたします。
再発予防には原因物質の特定と回避が最も重要です。職業性接触皮膚炎の場合は、作業環境の改善や保護具の使用についても指導いたします。症状が広範囲に及ぶ場合や繰り返す場合は、アレルギー検査による原因の詳細な特定をお勧めします。
舌下アレルゲン免疫療法(シダキュア・ミティキュア)

舌下アレルゲン免疫療法は、アレルギーの根本的な体質改善を目指す治療法です。当院ではスギ花粉症に対するシダキュアと、ダニアレルギーに対するミティキュアを取り扱っています。
治療は1日1回、舌の下に薬剤を置き、1分間保持した後に飲み込みます。少量から開始し、徐々に維持量まで増量します。治療期間は3~5年と長期にわたりますが、副作用が少なく、5歳以上のお子様から治療可能です。
この治療法の最大の利点は、アレルギーの自然経過を改善し、長期的な症状軽減が期待できることです。特に小児期から治療を開始することで、成人期におけるアレルギー症状の大幅な改善が見込めます。治療開始前には血液検査による適応の確認が必要となります。
ゾレア皮下注射

ゾレア(オマリズマブ)は、重症・最重症のスギ花粉症に対する画期的な治療薬です。2020年より保険適用となり、2月から5月の花粉飛散期限定で使用可能となりました。
この治療は、従来の内服薬や点鼻薬では十分な効果が得られない重症例が適応となります。IgE抗体の働きを阻害することで、花粉症症状を根本から抑制します。皮下注射による治療で、効果は速やかに現れ、花粉シーズン中の生活の質が大幅に改善されます。
治療適応には厳格な条件があり、血液検査による総IgE値やスギ特異的IgE値の測定が必要です。また、治療費は比較的高額となるため、十分な説明と同意のもとで治療を開始いたします。注射後は副作用観察のため、院内で30分程度お待ちいただきます。
アレルギー検査(View39、ドロップスクリーン)

適切なアレルギー治療には、正確な原因特定が不可欠です。当院では複数の検査方法を用意し、患者様の状況に応じて最適な検査を選択いたします。
View39は、一度の採血で39種類のアレルゲンを同時に検査できる非常に便利な検査です。吸入系アレルゲン(花粉、ダニ、カビなど)から食物系アレルゲン(卵、牛乳、小麦など)まで、幅広くスクリーニングできます。結果は約1週間で判明し、費用は3割負担で約6,000円です。
ドロップスクリーン検査は指先からの少量採血により、翌日には結果が分かる迅速検査です。41項目のアレルゲンを同時に調べることができ、採血が苦手な方や小さなお子様でも安心して受けられます。費用は3割負担で約5,000円です。
春のアレルギー6項目検査は、スギとヒノキを含む春季の主要アレルゲンに特化した検査で、費用は約2,000円と経済的です。花粉症の疑いがある方の初期検査として最適です。
アナフィラキシーショック

アナフィラキシーショックは、アレルギー反応の最重症型で、生命に関わる緊急事態です。食物、薬剤、蜂毒などが原因となり、全身に急激なアレルギー反応が起こります。
症状は皮膚症状(じんましん、発赤)、呼吸器症状(喘鳴、呼吸困難)、循環器症状(血圧低下、頻脈)、消化器症状(嘔吐、下痢)などが複合的に現れます。症状の進行は非常に急速で、適切な処置が遅れると生命に危険が及びます。
当院では迅速な診断と治療により、アナフィラキシーショックに対応いたします。アドレナリン自己注射薬(エピペン)の処方や使用指導も行っており、既往のある方には緊急時の対応法を詳しく説明いたします。症状が疑われる場合は、躊躇せずに直ちに受診してください。
薬疹

薬疹は薬剤によって引き起こされる皮膚症状で、軽症から重症まで様々な形態があります。抗生物質、解熱鎮痛薬、抗てんかん薬などが原因となることが多く、服薬開始から数日から数週間で症状が現れます。
症状は発疹、かゆみ、発熱などから始まり、重症例では全身の皮膚が剥がれ落ちるスティーブンス・ジョンソン症候群や中毒性表皮壊死症などの生命に関わる状態に進行することがあります。
診断には詳細な服薬歴の聴取が重要で、原因薬剤の特定と即座の中止が治療の基本となります。症状に応じてステロイド薬の投与や対症療法を行います。重症例では入院治療が必要となるため、適切な医療機関への紹介も行います。薬疹の既往がある方は、原因薬剤を記録し、医療機関受診時に必ず申告してください。
当院では「いつでも」「なんでも」「どなたでも」気軽にご相談いただけるよう、夜間診療も実施しております。アレルギー症状でお困りの方は、症状が軽いうちに受診されることをお勧めします。適切な診断と治療により、アレルギーと上手に付き合いながら、快適な日常生活を送ることができます。